ニュース

2017/04/21

コラムを更新しました。

2017/04/05

HPをリニューアルしました。

 コンテンツ

 研究について

研究全体マップ

横井・姜・東郷研で行っている研究をウィトロウィウス的人体図上にマッピングしました。各研究の詳細ページへ飛ぶこともできます。共同研究機関、共同研究企業、関連研究費を見ることもできます。

筋電義手

上肢切断者のための電動筋電義手を研究開発しています。また、電動筋電義手に必要な各要素、すなわちハンド機構、制御、人工知能、筋電センサ、装飾手袋の開発も行っています。

FES

麻痺肢の機能再建のための機能的電気刺激(FES)法を研究開発しています。痛みや不快感の少ない刺激波形の探索や、多チャンネルの刺激を用いた効果的なリハビリ法の研究開発を行っています。

BMI

ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)のためのロボットアームの設計開発および制御法の研究を行っています。軽量・多自由度・高出力のロボットアームを脳波で制御する方法を研究開発しています。

歩行支援機

高齢者の自立歩行を支援する歩行機を研究開発しています。効果的に歩行を支援するロボット制御法や歩様計測などを行っています。

シナジー解析

ヒト身体の多指、多関節、多筋の協調制御メカニズムをシナジーの観点から研究しています.ヒトの運動計測および解析を通じてヒトの身体に含まれる冗長性問題にアプローチしています。

 横井教授のコラム

  • <NEW> リストラと価値観

      皆さん,
      横井です.

      本日のコラムは,リストラと価値観についてです.

      リストラ,40代・50代になると,再就職は難しい.30代はまだ大丈夫かも.
      リストラ部屋をつくる企業=ブラック企業
      というのは,巷にあふれる情報です.ネットでググってみてください.

      近年の日本のコモンセンスになりつつあります.最近では,東芝,三越伊勢丹,オリンパス,シャープ,ソニー,サンヨー,三菱自動車,JAL,日産,トヨタ・・・・あまりにも多くの一流企業が頻繁にニュースに登場しますので,ありふれた現象の一つになりつつありますが,本学の卒業生の中にも,この厳しい波の中で活路を見出そうとしている人たちがたくさんいることに目を向けてほしいと思います.
      これから就職活動を行う人,就職先の決まった人,もう一度,何が必要なのかを再認識してください.

      リストラされることは,何がいけないのでしょうか?
      給与がもらえなくなる?
      まあ,その通りなのですが,仕事がなくなれば,給料は払えないというのは,資本主義の道理ですよね.
      私たちは,好むと好まざるとに関わらず,この世界に生まれ,この世界の中で生存競争を戦っています.
      もちろん,ある程度の経済力を身に付ければ,生きる世界を選択できますので,相応の国の国籍を得ればよいわけです.

      資本主義社会の会社組織において,皆さんが,30代,40代になって,従業員から社員に昇格し,部下ができれば,給料を払う側になります.
      そこで,もしも,皆さんに,時代を捕まえる力がなければ,その組織は給料を支払う能力がなくなりますので,皆さんが管理する組織ごとリストラの対象となります.
      皆さんは部下から見れば,ブラック上司になるわけです.

      さて,どこに問題があるかというと,「給料を支払う・受け取るという関係」がなければ,リストラする必要も生じないわけで,問題の根源はここにあることになります.
      40代以降になって,リストラされたら,どこかに再雇用してもらおうなんて思わないで,自分で企業を創ればよいのですよ.

      当たり前じゃないかと思うかもしれませんが,給料をもらおうと思うから企業に入るのでしょうか?
      給料をもらえる状況,および,契約内容がどうなっているでしょうか?
      それらがなぜ設定されているかを,もう一度,よく考えてみてください.

      視点を変えて,別の見方をしますと,皆さんがどこかの企業に就職した後に,後輩をリクルートに来るとしましょう.
      どのような学生に部下になってほしいと思いますか?
       1.大学で何を習得したかよくわからないけど,とにかく単位は取得して卒業した.
       2.とにかく給料が高くて,福利厚生がしっかりした企業に勤めたい.
       3.趣味の世界で生きていきたい.
       4.ジェネラリストになりたい.
       5.グローバルに活躍したい.
      これら,5択の中から選ぶとすると,どうするでしょうね.
      おそらく,これら5択をすべて除いて考えると,今は売り手市場なので,後輩をリクルートすることは難しくなるでしょうね.

      とはいえ,もともと仕事を取ってくる気のない人に給料を支払い続けることは,容易なことではないでしょうね.
      ここでは,本来,上司になる人の手腕が問われることになり,多くの部下をまとめて,金になる価値を生み出し続ける必要があるのですが...

      皆さんが就職先を考える場合には,先輩たちは,同じような視点で皆さんを評価していると考えて,間違いありません.
      1~5,すべてにおいて優劣を含んでいますので,これだけでは何とも言えませんが,たいていの学生が自分を表現するときに出てくる言葉は,こんな感じで止まっています.
      それ以上に突っ込んで聞き出そうとすると,だいたいが,何も出てこない場合が多く,どうしたらよいか教えてほしい・・・というような感じです.

      若い人たちが,物事をよく理解しているという状況は,そうそう多くはないため,上記のような状態になることはよくあることなのですが,中身があるかないかという部分に関しては,しっかりした価値観を持っているかどうかにかかっています.価値観とは,「優劣または好き嫌いなどを判断するための基準」のようなものであり,生きていくべき方向を決めているか否かに依存します.
       価値観を持っている人は,新しい価値を生み出す能力を持っている場合が多いのです.もちろん,いろんな意味で,あちこちとぶつかる可能性も高いのですが,それはそれで,良くも悪くも大いに評価される対象となります.
       当然のことながら,10人10色ですので,その人の持つ色が,希望する企業に合うかどうかは判断が分かれるところです.あまりに色調が強い色を持つと敬遠されてしまうかもしれませんが,色がないよりは,数段,マシなことです.
       とにかく,一番まずいのは,「色がない」と思われることなのです.企業担当者から,「君はどういう人なのかよくわからない」なんていう印象をもたれたら,アウトですね.

      言い古された言葉ですが,就職戦線を勝ち残ってくれることを願っています.

  • 研究室を離れる皆さんへ(2016年度)

      4年生,修士修了者の皆さん

      横井です.
      卒業・修了に際し,皆さんへの送別の言葉を送ります.

       

      今年度の卒業生については,それなりに凹凸はありますが,本人の努力とアイディア,そして,先輩方の手厚いサポートによって,無事に卒業を勝ち取ることができました.
       私としては,研究室全体が後輩の指導と支援に一丸となって取り組んでくれたこと,また,新人には高いハードルに果敢に挑戦し,相応のレベルの成果として論文の執筆に到達してくれたことに,大きな喜びを感じることができました.
       修士修了者については,一般の研究者と肩を並べるレベルの課題を解決し,定量的かつ客観的な論述に基づいて学位論文をまとめ上げることができたことを高く評価します.真の意味で,素晴らしいと評価します.
       昨年度に引き続き,今年度の修士の学位論文は,未来永劫,長期間にわたり,後輩たちの参考文献となり,さらに,手本となることでしょう.

       

      研究室というところは,協力の場であるとともに,競争の場でもあります.互いに切磋琢磨しながら,知的活動の階段を上ることにより,社会に通用する専門家を養成する場です.皆さんは,その中で相応の時間を過ごすことにより,協力と分担という研究者間のコミュニケーションの基本を習得したことになります.与えられる学位は,工学という分野の専門家として相応の知識と技術を習得したことを証明するものですが,研究室でサバイバルできたことは,集団の中で仕事のできる人間であることを証明するものでもあります.

       

      これから皆さんが飛び込む社会は,学生時代とは異なり,共通の利益を求める集団で協力し合うことにより,他の集団との利益獲得競争を行う場所です.そこには,特許法という共通ルールがありますが,基本的にはアイディアの融合と競争,その実践力が問われる環境が待っています.
       これまでの大学という教育環境とは大きく異なり,非常に大きな資金を動かせるとともに,社会的な責任が伴います.おそらく,非常に面白くもあり,ストレスも大きくなるかと思います.もちろん,個々人の負える責任には限りがありますので,活動できる領域は,現実的なサイズにまとまってしまうかもしれませんが,若い人には,すべての人に,等しく可能性が与えられています.
       人は,その生まれ育ち,学歴,資産などにより,スタートラインには違いがありますが,すべての人に共通しているのは,「時間」です.誰にとっても1時間は,1時間です.時間をいかにうまく使うかによって,誰もがビル・ゲイツやアルバート・アインシュタインになれる可能性が残されているのです.

       

      皆さんの一番の敵は,皆さん自身です.
       自らができないと思ってしまうと,どんなことも完成させることはできません.
       これを養老先生は,「バカの壁」と名付けました.

       

      その逆に,できると信じれば,大抵のことは成就します.
       自ら枠を狭めることなく,挑戦を続けてください.

       

      皆さんの活躍を祈っています.

  • 4年生の卒論に向けて

      4年生の皆さん

      横井です.
      卒論の執筆まで,残すところ2か月を切りました.
      多少の差はありますが,これからが本番です.
      体調を整えて,着実な一歩を刻んでいってください.

      研究会の時にも説明しましたが,卒論については,とにかくも論理的に整合性の とれた発表を行うことができれば,誰でも合格できるようにできています.

      論理的に整合性のとれた発表とは,
      1.緒言・・・背景・・・社会的課題や従来の研究で明らかになった課題の選定 (卒論ではここが一番大切)
      2.目的・・・上記の課題を解決し,何を達成目標とするかを明示
      3.提案・・・課題解決を行う方法や理論を記述,数理論的に記述すべき部分
      4.実験的検証・・・実験条件を詳細に記述,得られた事実のみを記述.(ここ に結果を書く場合もあります.)
      5.結果・考察・・・方法論が効果的に課題を解決した領域とうまくいかなかっ た領域を分けて,その理由などについて論理的に導かれる事実を述べる.
      6.結論・・・目的は達成されたか?

      などとなります.
      前に述べたことを受けて論理を構成すれば,整合性のとれた発表となるわけです.

      卒論発表の場では,私は助太刀はできませんので,黙り込むことしかできません.
      (もちろん,それまでは,多くの小言を言うことになりますが...)

      皆さんの健闘を祈っています.
      先輩たちも,4年生全員が揃って卒業できるように,助け合って,支え合ってく ださい.
      助言,叱咤,激励,何でもありです.

      がんばれ!

  • ポリティカル・コレクトネスの破たん

      横井です.
      今日は,ドナルド・トランプ氏がアメリカの大統領選挙に勝利した日となりました.
      普段は政治的な話はしませんが,この出来事は,覚えておいた方がよいと思いますので,コラムを書いておきます.

      さて,ドナルド・トランプ氏とは,どのような人物でしょうか?
      1.差別主義者
      2.大金持ち
      3.ハラスメント大王
      4.銃規制反対派
      5.保護主義
      などなど...

      近年のスマートなアメリカ紳士の姿からは,想像できないぐらい,というか,まったくの対極に位置する人物ですね.

      今回の大統領選挙は,大方の予想では,ヒラリー・クリントン氏が当選するであろうと考えられていましたが,このような「怪物」のような人物が当選してしまいました.

      さて,この状況は,いかに理解すればよいのでしょうか?
      沖縄のアメリカ軍が居なくなるぐらいのことは起こるでしょうが,そんな小さなことはどうでもよいことです.日本という国がなくなるかもしれないレベルの話ですから.

      最近の世界の出来事と合わせて,読み解いてみましょう.

      1.アルカイダのテロとイラク崩壊,ISISの台頭(中東情勢)
      2.ソビエト連邦崩壊とロシアの経済危機,ウクライナ侵略
      3.英国のEU離脱BrexitとBregret
      4.ドイツの難民受け入れと周辺国の国境封鎖,ナチス風政党の復活
      5.中国の南シナ海侵攻
      6.フィリピンの対麻薬戦争と毒舌大統領
      7.北朝鮮の核・瀬戸際外交
      8.アメリカの世界警察の権力の失墜

      英国のEU離脱の時には,英国の知識レベルの低下に本当に驚きましたが,今回の大統領選の結果を見るにつけ,「アメリカよ,お前もか.」という気持ちです.

      これらを並べてみると,最強の国家がなくなったため,世界の強国が覇権を争う時代に入り始めていることがわかります.まず第一にわかることとしては,早い話が,これまで安定していた西欧諸国の世界観が崩壊し,下克上の世の中に逆戻りしそうな様相を呈しているということなのでしょうね.

      それだけ,下層階級の人口が増加し,生活に不満を持っている人々,行場のない怒りを持っている人々が増えてきているということのでしょうね.

      人は動物の頂点に位置する生き物ですし,さらにその上に行きたいという欲求を持つことも理解できます.今の現状に満足できないというのは,自然現象ですね.そうなってしまうと,法律やモラルなんて,何の役にも立ちません.

      ちなみに,スイスは,15世紀~18世紀のヨーロッパの戦争において,多数のスイス人を外国人部隊として各国に派遣していました.当然のことながら,それぞれの国では外国人部隊を先鋒として扱いますので,大量のスイス人が死に至ることになりました.この教訓をもって,スイスは永世中立国を宣言し,他国の争いに関与しない,すなわち,中立を国是としたのです.とはいえ,スイスは鎖国をしているわけではないし,核保有国ですし,強力な軍隊を持っています.

      さて,次に,ポリティカル・コレクトネスについて,下記の記事が興味深いので読んでみてください.
      http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161109-00514398-shincho-int

      私が常々言っていることでもありますが,最近の社会の問題点は,行き過ぎた「個人の権利の保護」に集約されます.
      1.犯罪者の方が被害者よりも保護される社会
      2.権利を持つものは,もっと権利を持ちやすくなる社会
      3.弱者は保護されるのが当たり前という社会
      4.言葉狩りの横行
      5.払えない賠償金は払わなくてもよいという社会
      などなど.

      人対人の権利や義務のせめぎ合いの話になるのですが,権利の保護が進み,義務の範囲が縮小している状況にあります.別の言い方をすると,人の権利が優先されすぎたため,人の権利が毀損されるという矛盾が起こっている状態にあります.  これは,社会に生活するものとして,非常に息苦しく,また,相手を許せなくなる社会になっていると考えられます.このような状態を称して「不寛容の世界」と呼ぶ学者もいます.

      ポリティカル・コレクトネスに代表される「正しい行い,行動規範,モラル」等と呼ばれるものは,人が人の行動を縛るための呪文のようなものです.

      「言いたい人には言わせておけばよい!」といえる人は,強い人です.
      ただのおバカさんかもしれませんが...少なくとも,そう言い放ってしまったことによる損失や攻撃を気にしないか,気付かないでいられる人です.

      今回の大統領選では,こういった無理な状況が爆発したと捉えると理解しやすいのではないでしょうか.

      皆さん,これからの世界は混迷を深め,かなりドギツイ状況になると思いますが,少なくともこれまでの閉塞状態からは脱却します.気をしっかり持って,強か(したたか)に生きていってください.

      楽しく生きていくためには,二重国籍は必要かもしれませんね.安心するためには三重国籍ぐらいあったほうがいいかも.

      さてさて,今後どうなるでしょうね.

  • 就職活動を有利に進める方法

      横井です.
      就職活動に苦労している人たちもいるのではないかと思い,一つの経験談を披露します.

      私が就職活動を行った時代は,昔のことなので,今とは異なるようなイメージを持つかもしれませんが,大手の企業が一様に求める内容というのは,100年ぐらいでは変わらないものです.

      就職活動には,大きく分けて3段階があり,それぞれの段階で,フィルターがかかっています.そのフィルターの代表的なものを列挙してみました.

      1.リクルーターが目をつけるところ:
         元気・・・・・・第一印象はOK,
                 さて,どこまでのプレッシャーに耐えられるかが試されます.
         ポジティブ・・・どのようなことからも,良い点を見つけ出せるかどうか.
         分析的・・・・・事実の正確な把握と,要素の並べ挙げ,
                 そして,関係性の明示する能力.
         業績や成績・・・上位5%程度の学生はOK
         経験・・・・・・挑戦してきたこと,一つのことに打ち込んでいると高評価
         論理性・・・・・事実の正確な把握と,場合分け,そして,体系化
                 上記と矛盾しない結論を導く能力
         健康・・・・・・実は,これが一番大切です.
                 男女を問わず,若々しく美しいこと.
                 ただし,見目形の話ではなく,健康的でフレッシュな印象.
         上記のどれかが優れていると,リクルータからは高評価を得られます.

      2.人事部が選ぶ人:
         失敗をたくさんしてきた人:どれほどたくさんの挑戦をしたかが鍵,
                苦心惨憺いろんなことを試して,自己研鑽してきた人が高評価
         成功をたくさんしてきた人:苦労をしていない,すなわち,
                自分の限界に挑戦しなかった人とみなされて,この時点で,アウト.
         よく調べる人:就職したいと思う企業ならば,当然,よく知っているはず.
                企業に関する知識量を問われます.
         客観的な人:自分のことをよく知っている人は高評価.
                自分の話ばかりする人は,主観的とみなされアウト

       

      一番ダメなのは,その企業のことなど何も知らずに,一部上場の大企業だから,就職したい・・・という印象をもたれたら,アウト.当たり前のことですが,寄らば大樹の陰よろしく,給料だけ欲しくて,働く能力のない人を採用したのでは,業績が落ちますので,人事部の評価が下がります.

      3.役員の目に留まる人:
      客観的に自分をみれるかどうか.人をまとめられるかどうか.
       ここで重要な点は,いかに多くの仲間を作って,大きな仕事を進められるかを判断しようとします.大卒を採用するということは,将来の幹部候補を採用することと等価なので,一部の大天才を除いて,一匹狼は必要ありません.
       執行部は,多くの人と協力し,利益の適正な再配分と信頼を得られる人,そういう人を採用しようとします.もともと企業とは,仲間が集まって,利益を確保しようとするところなので,ここに重点が置かれることは,いたって自然です.

      余談ですが,研究者の場合は,一匹狼でも構いません.
       学術論文や特許などの業績が十分あれば,採用されますので,企業の場合でも研究所などを志望する場合には,上記の内容は適合しない場合があります.

      以上.就職活動の健闘を祈ります.

  • 未来の道しるべ(ランドマーク)

      横井です.
      研究室を育っていく人たちへ向けて,一言です.
      (若い人たちに,言ってもわからないかもしれませんが・・・少なくとも,私が皆さんと同じ年齢だったころには,よくわかりませんでしたが,知識としては知っていたことを書いておきます.時代が変わったかもしれませんので,適当にモディファイして活用してください)

      これから社会へ戦いに出ることになります.
      人は一人では非力です.人は人と協力することで,2倍以上の力を発揮する生き物です.

      進化の歴史の中で,
      ・多細胞化により,死滅する可能性を低下.
      ・機能分化により,個々の作業は単純化し,組織としては効率化,全体として利益最大.
      ・神経ネットワークにより,知能化,予測能力獲得
      ・通信能力(符号化)により,群衆としての知能を獲得,社会性動物の誕生
      ・ピラミッド,万里の長城ができる...月から見える唯一の人工物

      良い仲間を見つけて,協力し合うことにより,組織は強くなります.
      そして,その仲間が多岐にわたるほど,強力です.

      会社組織は,営利を目的とするものが協力し合いながら,利益を再配分する仕組みです.
      新しい人を吸収しながら,組織の活力を保ち,協力して最大の利益獲得を行うことを目指しています.

      組織の中では,自分の能力が最大限に発揮できる部門を見つけられることが,楽しくかつ最大利益で働ける方法なので,皆さんがうまくそのポジションを見つけられることを願っています.

      ここでの”楽しい”という意味は,”やまいだれ”のつかない”知的な営み”の意味です.仲間の見つけ方に飲み会というものがありますが,頻繁に行われる飲み会は,昔は,”傷のなめ合い会”と言われており,悪い仲間に取り込まれる罠です.違法性の高い企業ほど自己啓発セミナや懇親会を盛り上げようとしていますね.酒の勢いで都合の悪いことに疑問を抱かせないようにしているのでしょう.力量のある仲間は,飲み会など頻繁に行わなくても,心が通じるものです.そういう仲間を見つけてほしいと思います.

      とはいえ,必ずしも,皆が良い仲間を見つけられるわけでもありませんし,自分に合ったポジションにつけるわけではありません.不運にも,3年我慢して見つけられなかったとしたら,その場所はあなたに向いていないのです.その時は思い切って,生きる場所を変えましょう.ただし,そのチャンスは1度だけです.能力の伴わない転職は,必ず条件を悪くします.同じことを2回やると,同期生から6年遅れることになり,絶対に追いつくことはできません.

      細胞性粘菌(アメーバ)の研究で明らかなように,多細胞体は強制的な新陳代謝ということが行われます.細胞性粘菌は,非常に原始的な多細胞体なので,活力がある細胞もない細胞も,大した区別なく,ある一定の仕事を行った後に,体外に排出されます.

      ちなみに,会社とは,営利目的であり,利益を再配分することを目的とした組織であることを述べましたが,株式会社の場合には,利益を再配分する先は,社員だけではなく,株主など,いわゆるオーナーへの配分が大きな部分を占めています.すなわち,オーナー側になるべきであることを意味しています.

      会社で働くとは,十分な能力もないうちから給与をもらうわけなので,オーナーに借金して,その利息を払っているようなものであることを心に留めておいてください.日本という国は,その辺のシステムが幼稚なのです.

      また,大企業というのはアメーバ程度の進化レベルに留まっているようで,35歳定年や55歳定年などの強制的な新陳代謝が待ち構えています.10年先,30年先のことなので,現実的ではないと思いますが,一応,そんな時代に生きていることを知っておいた方がよいと思います.

      35歳の決断
      http://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000314

      55歳の決断
      http://diamond.jp/articles/-/43702

      これに対する対抗策は,論文を書くことです.大手の企業から大学教員や研究所に教授職で移る人たちがたくさんいます.そういう人たちは,誘惑から脱して,苦しくともこつこつと研究を続け,論文を書いてきた人たちです.この受け皿は,年間2000名程度と意外に多いのですが,毎年100万人もの人たちが候補者としていますので,その競争は厳しいものがあります.概算ですが,30歳で助教を目指そうとしますと論文数として10編程度以上,35歳で准教授であれば20編程度以上,45歳で教授ならば50編以上が目安になります.もちろん,その論文のインパクトファクターによって前後しますので,あくまでも目安です.

      それ以外の方法もいろいろとあり,起業して独立する人たちもたくさんいます.ちなみに,こちらの方はだれでもできますが,生活を支えられる程度に軌道に乗せることのできる人は,100人に一人ぐらいです.こちらの方が確率は高そうですね.

      少しでも,自分の能力を高め,数名の信頼できる友人を見つけ,論文などの客観的に自分の能力を証明でき,会社名の入らない名刺を獲得していってほしいと思います.

      とはいえ,二兎を追うものは一兎を得ずのたとえもあります.能力の枠を超えて,いろんなことを並行して行うと,全てがダメになります.

      敵を知り己を知れば百戦危うからず.
      己の力量に応じた戦い方をすべきでしょうね.

      いずれにせよ,備えあれば憂いなし.

      皆さんの健闘を祈ります.

  • 感謝

      皆さん (研究室の学生に宛てて)

      横井です.
      さくらサイエンスプラン(南開大学)への真摯な対応,とてもうれしく思いますし,心から感謝します.

      このために,研究室一丸となって準備に取り組み,毎日,長時間にわたり対応してくれたことで,満足な結果が得られていると思います.

      明日は,トヨタ自動車およびアサヒビールの見学,そして,明後日は修了式と聞いていますが,彼らにとってこの滞在は,きっと,心に残るものになったことでしょう.

      ことばと文化の違いを乗り越えた先に,理解というものがあり,その理解を通して人は幸福感と安堵感を得ることができます.そう感じている人は自分の成長を実感できるでしょう.

      この取り組みを通して,国際的な友人がたくさんでき,皆さんの心の生活範囲が広がることを願っています.

  • 夢を持って

      横井です.
      本日のコラムは,「夢を持って」です.

      私もそうでしたが,若者だった時には,何も持っていませんでした.
      もちろん,今でも,ほとんど何も持っていませんが.

      人は,長い年月を生きていく過程で,いろんなものを獲得します.
      たとえば,技,経験,信用,知人,財などです.

      企業は,なぜ,新卒者を雇用したいと思うのでしょうか?
      または,皆さんが採用担当者になった時にも,おそらく,年寄りを雇用したいとは思わないでしょう.それは,なぜでしょうか?

      若者には,年寄りにはない,何かがあるからでしょう.

      では,皆さんが日常生活で困った問題が起こった時に,誰かに相談するとしましょう.
      まずは,友達,その次に,親,または,教員,それでも片付かないときには,行政機関や弁護士,一般には,年長者に相談することが多いと思います.
      さて,それはおそらく,知識や経験,または,権力を期待して,相談を持ちかけることになるのでしょう.

      このような意味では,若者には,知識も経験もなく,ましてや財力もない,
      では,なぜ,企業は若者を採用しようとするのでしょう?

      話は本筋から逸れますが,ここ数年,中途採用者を即戦力として雇用している企業も多くなってきていますので,
      必ずしも,新卒者が就職に有利というわけではありません.

      若者を雇用したいと考える第一義的な理由は,「健康的に働ける期間の長さ」でしょう.
      そして,次の理由は,「新しい世界に飛び出して行ける冒険心・心の強さ」にあります.

      先週のコラムと同様に,すべての生き物の進化生存の原理は,「適者生存」であり,環境への適応能力の高さが,すべてに優先されます.
      企業とて,生存し続ける適者となりたいわけです.

      一般に,心と体が健康で強くなければ,新しい環境へ適応することができず,新しい機能を獲得することはできません.
      企業は,多くの人間が寄り集まって,機能分担・分業制に基づいて活動を行い,利益分配を行う社会性集団です.
      企業同士が切磋琢磨しながら作り出しているこの世界は,毎日のように環境が変動し,常に新しい環境が作り出されています.
      そこに適応するためには,常に若々しい構成人員を補充しながら,冒険を行う部門を確保しておく必要があるからです.

      とはいえ,
      「少年老い易く学成り難し」とは孔子の格言ですが,これは人間の悲哀をよく表している言葉であり,若者が学ぼうとしてもその時間はとても短く,すぐに老いてしまうことを端的に表しています.

      ここで,老いという言葉は,新しい機能獲得ができなくなること,すなわち,環境への適応能力がなくなることと読み替えることができます.
      適応能力を無くした人を欲しがる企業は,少数派ということになるでしょう.

      この格言は,皆さんもよく聞かされてきたと思いますが,その意味を深く理解できている人は,それほど多くないのではないかと思います.
      若いころにゲームや漫画に興じ「受動的」遊ばせてもらって,時間を過ごすことを「浪費」といいますが,
      それは,ゲームや漫画に限らず,「主体性・能動性」の無い活動は,すべて浪費なのです.
      その理由は,その空間にいると,心地よくていつまでもいたいと思うこと,時の流れや環境の変化がないことを意味しています.
      自分が新しい機能を獲得できなくとも,何の不都合もなく,誰からも邪魔されない.
      このことそのものが,自分で自分の進歩を止めることを意味しています.

      「若いころの苦労は,買ってでもしろ」という格言もまた,同じような意味でしょう.
      苦労して階段を上ろうとするものには,チャンスが与えられ,新しい機能獲得が可能となるでしょう.

      企業の話に戻しますと,このような意味で「輝きのある若者」を求めているということなのです.
      しかしながら,いわゆるモラトリアム型の浪費に逃げるような若者は,「学成り難い」少年なので,早々に老いてしまうため,企業では必要ないということになるのだと思います.

      就職面接の中で,企業調査,市場調査,自己評価が重要となる理由は,その学生が自分の殻にとじこらずに,
      客観的な情報をいかに多く集めたか,また,その勇気と能力があるかを問うているのです.
      これを問うことで,その学生の本質的な力が見えてくるのです.

      知識量も大事ですが,ただの評論家では,役に立ちません.
      専門書を集めた図書館があれば,事足ります.
      重要な点は,知識量だけでなく,それを使いこなす知能です.
      また,飲み会のカラ元気も大事ですが,薄っぺらいと宴会の時だけ部長ですが,日常業務では平社員です.
      宴会の時だけでなく,実社会でも挑戦し続けることができて,はじめて意味のある元気となります.
      知能と元気を兼ね備えることこそ,魅力ある若者といえるでしょう.

      さて,新しい環境であれば,何でもよいのかという疑問が次に湧いてきます.
      ほとんどの人が,特に目標など持っては生きていないのでしょうが,それは,それで良いのかもしれませんが,
      私は,そのような人生を推薦したいとは思っていません.
      あきらめるのはいつでもできることなので,若い人たちには,夢を持って生きてほしいと思います.
      夢を持つということは,何らかの目標を持つということであり,目標と現状との距離関数を定義することができるので,生きていくことに楽しみができることになります.

      失敗したとしても,ゼロになるだけです.
      成功すれば,楽しめたぶんお得でしょう.
      とはいえ,皆,この世の終焉にはゼロになります.
      結果は同じということだけは明らかです.
      「踊る阿呆に見る阿呆,同じ阿呆なら踊らにゃ損損」ですね.
      よって,何も恐れることはありません.

      皆さんに伝えたいことは,上記の意味で「若さを無駄にしないように」ということです.
      新しい環境への挑戦を恐れず,夢を持って冒険し,経験を自分のものにしていってほしいと思います.

  • 迷信と権力

      本日は,久しぶりにコラムを復活させます.
      (前はよく書いていたのですが.最近忙しかったので,つい,さぼってしまっていました)

      表題は,「迷信と権力の構図について」です.
      世の中をどのように認識し,自分の人生をいかにして過ごすか,これについて,考えてみてください.

      人類の歴史の中で,古典的な権力維持の原動力は,差別です.
      区別というと少しニュアンスが変わりますが,意味的には大差なく,何らかの指標に基づいて二者間の差を測り,待遇を分けることを意味します.
      また,英語では,どちらもdiscriminationですね.
      このコラムでは,差別とは,妥当性の無い区別により,何らかの拒否が行われることという意味で使います.

      もちろん,我が国も例外ではなく,明治以前の前世代的時代には,差別に基づいて社会的階級が決められ,その中で,多くの人々が生きてきました.
      そこでの距離関数は,「神仏との距離=人間の価値」という迷信に基づいて決定され,動物の血に触れる職業にあるかまたは近いものほど低い階級にあるとされてきました.
      簡略化すると,「神仏>人間>間人>動物」というような構図を植え付けようとしたと解釈できます.

      この迷信は,「放生令と肉食禁止」という形で,平安時代の仏教文化とともに発展し,江戸時代まで続いてきました.
      「放生令」とは,生きているものを野に放つこと,すなわち,動物を家畜として捕まえておくのではなく,
      自然に帰してやらなければならない,これにより,生き物を大切にしたこととなり,仏に近い行いができるという法律です.
      また,「肉食禁止」とは,肉を食べたものは,ある一定期間(数十日),神社仏閣に入ってはならないという法律です.
      皇室を中心とする政治が仏教をもって国を治めているときに,神社仏閣に入れないということは,
      政治に携われないということであり,これは直ちに権力を失うことを意味します.
      要するに,その間の我が国の人々は,よく訳の分からない理由で肉を食べることを良しとできなかったわけです.

      その一方で,生き物の殺戮は,仏教の教えから言うと「悪」であるために,これに近いことを,
      すなわち,「穢れ(けがれ)」と称し,忌み嫌う対象と位置付けたわけです.

      国家権力とは,いつの時代もそうですが,なんとも危ういものであり,人間が生得的にもつ恐れや悲しみ,
      または,悦びや楽しみを対象として,これらをうまく操ることにより,人心を掌握し,群衆をまとめ動かすことによって成り立ちます.
      そのための立脚点として,見えないもの(神仏や動物)を持ってくることは,一つのアイディアです.
      仏教を政治の中心に据えるアイディアは,その世界が1000年余りも続いたということから,とても成功したと言えるようです.

      この国家権力のもたらした利益は,どのようにして生きていったらよいかわからない人民に労働の役割を与え,
      その結果として,食を与えたことと,様々な文化を育んだことと考えられます.
      非常に多くの人が飢えをしのいだことは,功績として認識されます.
      人間は社会性を持つことにより,その適応力を最大限に発揮することができる動物です.
      これには,何らかの求心力が必要であり,群衆を成すことにより,分業による機能分化と専門化,
      そして,技能の向上,結果として,生産性の向上,豊かさへとつながります.
      その求心力となるものは,路傍の石でもよく,ある意味,何でもよいのですが,問題は,その弊害の大きさにあります.

      物事の理解が乏しいと,本来は,区別として用いていたはずのものが,差別へと転化されます.
      本来は,適正な利益配分のために職業の専門性を区別しようとしただけのはずなのに,
      人間性やその価値の評価へと誤解が加速してしまったことが大きな損失を生じました.
      前述のごとく,人は社会性動物であることを述べましたが,同時に,感情豊かな動物でもあり,
      そのマイナス側の感情を強く刺激してしまうという副作用を生じます.
      平安時代の為政者は,このことが理解できていたか,それとも,積極的にこれを利用しようとしたかは,私にはわかりませんが,
      残念ながら,このような誤解が,現代においても続いていることは,とても悲しいことです.
      皆さんには,このことをよく「理解」してもらい,正しい「理解」の下で,正しい生き方を選択してほしいと思います.

      ところで,1300年前の政権が,仏教文化を選択したことについては,現代から見ると,ちょっとおかしくもあり,幼稚なようにも見えますので,
      迷信として嘲笑することはいくらでもできるのですが,これは,昔のことだから許されるのです.
      すべての物事がそうですが,黎明期には,物事の理解を深めるための準備が必要であり,その一過程だったと理解することが正しいと思います.
      例えば,微分方程式を学ぶときには,例題をたくさん解いてみたりして,幼稚な計算をたくさん行うことによって,
      その計算方法を頭に入れようとしますが,後には,微分方程式の解法だけが残ります.
      または,家を建てるときなどには,家の周囲に足場を組むのですが,家が完成した後には,足場は取り除かれます.
      これとよく似ていると思います.

      さて,一方で,いわゆる迷信の問題点や弊害についてですが,現代においても,差別という現象として残っており,
      残念ながら,特に,弱い者やへたれと自認する人たちが,他者を蔑む(さげすむ)ために使うという形態で表出しています.
      これは,まさに江戸幕府が士農工商エタ非人として階層を作ることにより,農業従事者の不満のはけ口を作ったようなものです.
      このような前世代的な認識により,自分の立ち位置を確認しないと安心できないような精神構造は,
      自分は弱い人間であると公言しているようなものであり,とても恥ずべきことです.
      現代に生きるものが,そして,科学を学ぶものが迷信に惑わされることなく,生きてほしいと切に願います.

      それでは,何が迷信で,何が間違っていたかというと,「神仏との距離」ということ,
      すなわち,無いものを有るように見せようとしたことに誤りがあり,そして,その誤りを知らせないために,人民の目先をそらせる手段に出たこと,
      すなわち,差別という虚栄心をくすぐることにより情報を遮断したことです.
      皆さんも会社に就職すると,すぐにわかると思いますが,中央集権的な会社は,末端まで情報が回ってきません.
      情報統制は,権力集中の最適な手段です.(出所不明な甘い誘いに乗らないようにした方がいいと思います,)
      これに対抗する方法は,正しく情報を得ること,正しく状況を認識することだけです.
      インターネットの発達した現代であればこそ,すべての人が同等の権利と条件で戦えるのです.(情報戦争に負けたら仕方がありませんが...)

      そして,すべての生き物には存在権があり,生き死にの価値を他者から決められてよいはずはありませんが,しかし,環境に適応できなければ,そこでは生きてゆけません.
      この世は,局所的には弱肉強食ですが,広い世界では適者生存ですので,どこかでよい環境(エコロジカルニッチ)を見つけることのできるものだけが生き残れるのです.
      いわゆる淘汰圧を環境から受けています.そのためには,己を知らなければ,どの環境に合致するのかも選べませんね.

      すなわち,社会性動物として,他者とつながれる環境を見つけること,たくさんの他者と協力できること,たくさんの他者を助け,また,助けられること,グローバルに,この環境を作り出すことが,現代の適者生存のための最適戦略です.

      すべての人に権利も義務も平等です.
      自己認識と環境認識,これら二つを過不足なく行うことによって,適者となり生存が叶うのだと思います.
      一人ひとりが自分の生き方に責任を持っていることを理解して,生き方を選んでほしいと思います.

  • 終戦時の玉音放送について

      第二次世界大戦の終結時に昭和天皇がラジオを通じて述べられた玉音放送に関するページを見つけました.

      とても分かりやすい現代語訳が書かれています.一度目を通してください.
      http://www.geocities.jp/taizoota/Essay/gyokuon/gyokuon.html

      私は天皇制については,特に意見を持っているわけではありませんが,この文章には,戦火によって荒廃した日本を目の当たりにして,国民をいたわりながらも勇気づける言葉が述べられています.

      現代は,比較的豊かで安全な世の中になりましたが,日本にもこんな時があったことを歴史の資料などで勉強してみてください.

      私たちが予想すべき明日の世界は,かなり混沌としてきています.
      20年後にもう一度この放送を聞くようなことのないように,一人一人が責任を全うすべきなのだと思います.

      皆さんは,第二次世界大戦がなぜ起こったか,知っていますか?
      また,なぜ,敗色が濃くなってもやめられなかったか,原子力爆弾を投下されるまでやめられなかったか知っていますか?

      その理由は,端的に言って,次のようなことです.
      当時の政府も帝国主義とはいえ,選挙で選ばれていましたので,国民の支持を得るためには,勝利の情報を流すしか手立てがなかったのです.
      大きな戦艦を作ったことや,どっかの海で敵国の戦艦を撃沈したことなど,それこそ大本営発表と呼ばれる誇大広告を流し続けたのです.
      国民は,情報統制を受けて,正確なことが見えないような状況におかれたのです.
      このことは,現代の某政権政党の行っていることと,よく似ていると思いませんか.

      私が危惧するのは,この点なのです.
      今も昔も状況的には大きく変わってはおらず,経済的に疲弊すると隣国との摩擦が大きくなるというダイナミクスが働いているようなのです.
      その上,票を集めるために誇大広告を打ち,その責任が取れなくて,さらに嘘の上塗りをする.
      最終的には,どうしようもなくなって破綻.というストーリ.

      サブプライムを起点とするリーマンショックや株の大暴落など,期待価値に対する投資が投機に変貌し,その後,実態が見えて破綻する図式と似ていませんか.
      バブル経済などは,正にこの典型であり,土地神話が導いた期待価値に多くの人が過大な費用を支払ったことにより,土地の取引価格が実態から大きく離れてしまったこととしてまとめられます.
      小さいところでは,最初についた小さな嘘を隠すために,次につく嘘がどんどん大きくなっていって,ついに隠し通せなくなるようなものです.

      このような相似性があることは,学問的には非常に興味深いことですね.
      面白いことに,人は,見えないものを見たいと思うような潜在的な欲求を持っているのです.
      例えば,隠されると興味が倍増するでしょう.
      または,暗いところは,怖く見えるでしょう.
      大山鳴動してネズミ一匹とか,幽霊の正体見たり枯れ尾花とか,
      バブル経済は,日本の土地と企業の実力が明らかになった時点で,集金力をなくしたのです.

      人の社会にダイナミクスがあるとすれば,評価が数の論理に裏打ちされることは,
      すなわち,期待価値(見かけの価値)と実態との間のギャップが大きければ大きいほど,
      また,それが見えなければ見えないほど,強く人の興味を引き付けるのでしょうね.

      パチンコや麻雀などの賭け事も,人の射幸性を逆手に取った手法であり,いい例ですね.
      最近では,水着の女の子や人気キャラクタを用いて異様に華やかに装うことで,期待価値を膨らませることに拍車がかかっているようです.

      皆さんに考えてほしいこととしては,どうやったら実態が見えるかということです.
      表面的なことにとらわれず,本質を見る目を養ってほしいのです.

      ちなみに,蛇足ではありますが,今の若い人たちにとって,日本が破たんした方がいいのか,このままズルズルいった方がいいのかについては,大いに疑問です.
      もしかすると,破綻させて,経済的にリセットすることによって,1000兆円に及ぶ重しから解放された方が,経済的な回復が早く,若い人たちの労働の場が豊富に生まれる可能性が高いかもしれません.
      現在の政党が続けば,早晩破綻するでしょうが,次の選挙で,真面な政党が政権をとると破綻は起こらなくなってしまうかもしれません.

      さてさて,皆さんは,どう考えますか?

  • 高校生へのメッセージ

      大学への進学を希望する人たちへ,大学に勤めるものとしてメッセージを伝えます.
      高校で学ぶ基礎的な知識は,そのほとんどが大学での研究活動を行うために不可欠です.
      高校時代の若くてフレッシュな頭脳を持っている間に,基礎をしっかり身につけて,正しい論理を展開し,適切な解答を導けるようにトレーニングを行うべきです.
      大学で取り扱う「学問」の領域には,ここまでできれば大丈夫というような限界はありません.
      大学に入るものは皆,誰も踏み込んだことのない領域の知識を少しでも広げることを目指して,それまでに学んだ知識と,誰も考えたことのないアイディアを支えとして,挑戦を行い続けなければなりません.
      大学は,学問を行うところであり,学問を通して,新しいものを見出す眼を養うところです.
      企業や国が求める人材は,新しい時代を生き抜く力を持っている人であり,そのためには,新しいものを見出す眼を持つ必要があります.
      新しい眼を養うためには,高校時代に学ぶ基礎力がしっかりしていなければなりません.
      どうぞ,皆さん,皆さんの頭脳が若いときに,しっかりとした基礎力を養ってください

      どのように進路を決定したか

      私は,自身の興味を追求できる都市にある大学を選びました.
      「好きこそものの上手なれ」のことわざにあるように,好きなことをやっていれば,自然と上手になるものですので,せっかく同じ時間を使うのであれば,
      興味を持って取り組むことができ,好奇心によって自然と疑問がわいてくるような分野,そして,答えが見つかった時には,大きな喜びを得ることのできる分野に身を置くべきと考えます.
      私の子供のころからの趣味の一つとして,化石や鉱石の収集を楽しんでいました.
      その中に,石炭や炭鉱がありました.
      私が大学進学を考えた時代は,石油全盛の時代であり,全ての動力機関が石油に変わりつつありました.
      その裏で,石炭産業で働く人々の組合や家族が断末魔の声を上げており,同時に,石炭で潤っていた大都市が大きく傾いていく時代でした.
      このころ,高校生だった私の眼には,燃やせば勢いよく燃える石炭が,その価値を失っていく状況が,何とも不思議であり,大きな疑問となってのしかかってきました.
      世の中は,戦前戦中世代がリタイヤし,折しも電子機器の会社がパーソナルコンピュータを売り出した時期であり,時計が機械式からクォーツの電子制御に変わった時期でした.
      新しいエネルギーが,古いエネルギーを駆逐し,新しい技術が産業を造りだし,その上に,新しい文化が花開く,この状況は,化石の世界で,多くの生物が何億年も繰り返してきたことそのものです.
      大きく発展し世界中に広がった三葉虫やアンモナイト,恐竜など,その栄枯盛衰の歴史とよく似ていると思ったものでした.
      多くの仲間が絶滅する中で,生き残った生物種は,強力な免疫機能や知能を持ったり,過剰な鎧を脱ぎ捨て,高度な運動能力を得たりしながら,競争の時代を勝ち残っていきました.
      人間を含め,すべての生き物は,新しく出てくる強力な機能に駆逐される宿命を持ちます.
      ここで生き残っていくためには,新しい時代に必要な機能を予見し,早くからその準備を整える必要があります.
      ただし,石炭が価値を失ったことを注意深く観察すると,人の社会は,将来を予見するのは少々難しいように見受けられます.
      人の社会は,素材の持つ本来のポテンシャルを正当に評価することをせず,なんとなくそれらしい適当な理由をみつけて,新しい流れが作られてしまいます.
      ぼんやりしていると世の中に流されてしまいますので,どうぞ,正しく見通す眼を養ってください.
      今現在,石油や原子力の神通力が崩れ,自然エネルギーなどという新しいプロパガンダが叫ばれる時代となってきています.
      自動車は機械から電子制御に移り変わりつつあり,すべての人がスマートフォンと呼ばれる強力なコンピュータを持ち歩き,通信回線は膨大なネットワークの中に組み込まれつつあります.
      団塊の世代がリタイヤし,日本の価値観が大きく変わるような時代に踏み込みました.
      ちょうど,私が高校生だった時代とそっくりの状況になってきています.
      皆さんは,この時代の変革期にあります.さてさて,20年後,どのような時代になっているでしょうか.

      なぜ,現在の研究テーマを選んだか

      20年後を予想すること,その予想が正しければ,自分が40歳代になるころの社会基盤を支えられる人間になります.
      研究テーマは,この観点で選んでいます.
      私の研究テーマは,人の筋活動や脳活動を計測し判別できる技術を開発することと,その技術を用いて,人の運動や感覚の機能を補助する機械を作ることです.
      研究領域の名称としては,生体信号処理と知能機械工学です.
      私が研究を始めたころの日本の人口の年齢推計は,20年から40年後に超高齢社会に突入し,高齢化に伴う様々な問題が発生することが予想されていました.
      このような未来像に対して,国として取り組むべき課題は,上記の研究テーマの技術や理論が必要となるであろうことは,容易に想像されました.
      その中から,最も基本であり,重要な領域となる研究テーマとして考えたのが先に述べた,生体信号処理と知能機械工学です.
      この領域の研究は,今では,運動や感覚の機能を補助するだけではなく,失った機能を取り戻すためのリハビリテーションの領域への応用を模索するまでに広がっています.

  • 職を得るとは

      さてさて,皆さんは,どのようにして生きていくのでしょうね.

      O-111大腸菌による食中毒は,汚染された生の肉類を大量に食べると, ひどく体調を壊したり,悪くすると命を落とすことになること, 人は,肉を生のまま食べることに適さないことを教えてくれました.

      はて,どこかおかしいですね.
      自然界の動物は,肉を生のまま食べているんですよね.
      大腸菌に対する耐性を持っているのでしょうね.
      それでは,肉食動物の頂点に位置する, 人類は,生肉を食べられないというのは,おかしな話ですね.
      私はユッケに興味はないので, 生肉に規制が入るかどうかについては,関心はないのですが, 人類が生肉を食べられなくなった経緯については,ちょっと興味があります.

      今日の話は,ここから始まります.また,長くなるかな.

      日本は,世界でも有数の安全な社会です.
      とはいえ,ここ30年ぐらいの話ですけどね.
      我々は,温室のように,温度管理され, 消毒された世界で,30年近くも,無菌生活を送ってきました.
      たしかに,クリーンで快適な環境で生活するというのは, 気分のいい話なのですが,
      その結果,ひどく弱い動物になってしまったというのは, 何とも皮肉な話ですね.
      たまには,熱帯地方にいって,免疫力を強化してきた方がよさそうです.
      もちろん,あまりひどい病気を持ち込もうとすると, 成田で足止めを食らうことになりますので,注意する必要があります.

      また,今年の夏と冬は,電力不足のために, 否が応でも自然の温度と湿度に近い環境で暮らすことを余儀なくされるため, 少しは,強くなれるかもしれませんね.

      さて.人類が生み出した偉大な発明の一つに,価値の等価交換, パチンコの話ではありません.紙幣や硬貨の話です.
      生肉は,自己免疫機能が弱くなった状態ですので,菌類の働きによって, 非常に速いスピードで分解され,土に帰っていきます.
      コメや麦は,乾燥させると休眠状態となり,生命活動を休眠しますので, 肉ほどの速さでは分解されなくなります.
      特殊な場合を除いては,数年の間は,発芽能力を保持し続けます.
      人類は,この休眠する栄養源に目を付け, 肉などのビタミンやたんぱく質などと交換するという文化を生み出しました.
      要するに,食べ物の時定数を,必要に応じて交換可能にしていったのですね
      . この基本概念を応用して,食べ物と労働,建物,その他もろもろ, 価値を等しくするものと交換できる体制, すなわち,金銭による兌換制度を確立してきたのですね.
      このように,時定数を変化させられるようにすると, 良いことは,たくさんありますよね.
      例えば,夏の暑さを半年時定数をずらせば,冬が温かくなるなど, いわゆる,海の効果ですね.
      海の近くが気候が安定しているのはこのためですね.
      海のない月面で生活すると昼間は110度,夜間は-170度, ここで暮らすためには,相当の体力が必要となります.

      職を得るとは,この兌換制度にのっとって, 事故の労働やアイディアを等価交換することを意味します.
      労働やアイディアが時間を超えて,食べ物や快適な生活に替わるのですから, 自分が働けなくなったときにも生きていけるという,いい制度ですね.
      問題は,等価であるかどうかを,自分が決めるところにあります.
      さてさて,皆さんの1時間は,おいくらでしょうね.
      高くつけすぎたら売れないし, 低くしすぎたら,仕事しているのが嫌になりますよね.
      適正な価値を決めるために,資格制度という取り決めが行われており, ある種の資格を持っている人は,統計的にある確度を持って,
      相当程度の仕事ができるであろうからという期待値の下で, 少し高めの時間給が設定されています.
      もちろん,外れも当たりもあります.
      ブランドというも,よく似ています.
      価値を正確に判断する能力を持たない人たちは, ブランドが信用されているという理由で,高い価値を容認しています.
      信用=価値なのですね.これももちろん外れも当たりもありますし, さらに,まがい物までありますね.
      コピー品が非難される理由は,ここですね. 信用を勝ち取るために投資した資金と労働に,全く敬意と対価を払わずに, 無断で乗っかって不当に利益を得るというところが,まずいのですね.
      どのようなことでも,ずるいことをせず,真っ当にやることが大事ですね.

      皆さんが,自分のブランドを確立したり,資格を得たりできれば, 長い時定数の価値を自由に取り扱うことが可能となるわけです.
      職を得るとは,こういうことだと思います.

      さらに,皆さんが企業などに所属して, 生活の糧を得ていくことは,自分の狩場を守る仲間を得ることでもあり, さらに,分業を行うことによって,組織の効率を上げるということです.
      分業を行うと,なぜ,効率が上がるかについては,考えてみてください.
      分業を行うためには,「組織に属する個々」の協力と協調が不可欠であり, そのためには,利益が「公平」に分配される必要があります.
      この「組織に属する」ということと, 「公平」であることも,また,難しい事柄です.
      公理論的正当性をもって言葉で説明することは,とても難しいのですが, おそらく,感覚的には,理解できることだと思います.
      仲間を大切にして,組織として最大の利益を得ていくことが, 職を得ることなのだと思います.

      この後は,蛇足なのですが, 私の価値観について,思うところを書いておきます.

      私は, 特定の自然や動物を過度に保護するような行為を快く思ってはおりません.
      人類が快適に生活するために,有益な動物や植物は保護し, 害を与えるものを排除するという考え方は,
      反って人類の自然への適応能力を削ぎ, 結果として快適な生活を阻害するこうだと考えるからです.
      もちろん,だからと言って, 昆虫や犬,イルカやクジラをむやみに傷つけることを 奨励するものでもありませんし, 過度に生存権を与えることがいいとも思いません.
      基本的には,弱肉強食,存続する意思と力のあるものが 存続し続ける権利を得ることが正しいことだと思っています.
      なので, 利益誘導を目的とした殺虫剤などの開発や企業のシェア獲得競争などは, 人間本来の正しい姿だと思っています.
      企業活動においても,大学の研究室の運営においても,同じことです.
      要するに,人が勝手な基準を作って, 「馬と犬とイルカとクジラは特別で, 牛と豚と鳥は,人の食物になるために生まれてきた・・・」とか,
      「日本古来のタンポポは,短くてかわいいけど, 西洋タンポポは大きくていまいち風情に欠ける」という程度の話を 「外来種の流入によって,自然が破壊される」などと大げさにいうことは,
      自然の摂理に反して,人の勝手なガラパゴスを そこここに作り出そうとしているような行為に見えます.
      問題は,エコや保護などという,一見心地よい言い回しによって, 無償ボランティアを標榜することがペテンで好きになれないのです.
      これに対して,例えば,クジラを保護する仕事によって, 企業利益を得たいということを明示すればよいのです.

      6月3日,今日は,現総理大臣が前総理大臣からペテン師と呼ばれた日です.

      様々な考え方がぶつかり合いながら,利益の再分配が行われています.
      公平性という夢物語を信じて待つのではなく, 自分から獲得競争に参加してほしいと思います.

  • 若さとは,エントロピー,言葉,宇宙

      「若さ」というテーマで,考えてみましょう.

      時間が音を立てて流れていきます.
      最近,私には,その音が聞こえてくるようになりました.
      単なる耳鳴りではありません, 先日,中村君と山岸君が,年齢に応じて聞こえなくなる音というのを iPadのアプリで試してくれましたが,
      IT業界が扱うアプリは,それなりに楽しませてはくれますが, なんとも軽いものが多いですね,それも,時の流れでしょうね.
      これとは関係ありません.

      今日の話は,心理学的な認識論の話です.

      昔は,時の流れという概念が相対的にしかわからなかったのですが, 絶対的にわかるようになってきたこと, すなわち,時代の流れの速さを実感しているというように解釈しています.

      新しくできたものも,5年,10年,20年と時を経ることによって, 古くなり,朽ちていきます.
      目の前で起こる様々な現象,物理化学的な過程は 熱力学第二法則に支配されていると考えられています.
      これは,よく知られているように, エネルギーの移動の方向とエネルギーの質に関する法則ですね.
      エントロピーの概念で語られることの多い法則です.

      量子力学を確立したシュレーディンガーは, 晩年,生物の不思議に興味を持ちました.
      様々な物理化学的な過程の中で,生物に関わる現象は, ちょっと,一般の物理法則とは,異なる現象を呈しているように見えます.
      ここに興味を持ったのですね.
      生物がかかわる現象でも,時間を経るにつれて, 古くなったり朽ちたりするのですが,
      いわゆる野ざらしで,風化していく現象とは, 少し違うように感じませんか?何が違うのでしょうね.
      その答えを,エントロピーの概念に求めたのです.

      物理学的には,否定されていますが, 「生物の過程は,熱力学第二法則に反している」, すなわち,エントロピーは増大しないのではないかと考えたのです.
      風化という現象は, 物質が持っていた秩序や構造が失われていく状態と解釈できます.
      ある構造を持ってるものでも, 様々な相互作用の結果,乱雑になっていく状態ですね.
      この秩序や構造をエントロピーというパラメータで記述してみると, そのエントロピーが増大していくというのが,熱力学第二法則そのものです.
      一方,生物においては,この秩序や構造が保存されているように見える.
      もちろん,ある時間においてだけですけどね.
      その時間が長いので,不思議で面白く見えるのです.
      シュレーディンガーは, 生態系の中でも熱力学的過程が進行しているにもかかわらず, エントロピーが保存されているように見えるということは,
      生物がマイナスのエントロピー, 「ネガエントロピー」を生み出しているのではないかと考えたのです.
      コラーゲン配合の化粧品が,お肌の手入れに欠かせないのは, 心理学的な「ネガエントロピー」が配合されているからかもしれません.
      良質な状態を長持ちさせることは,なかなかたいへんなことですね.

      ちなみに,現実的には, 物理学的に否定される論拠は,その時間が有限なので,
      結局は,熱力学第二法則に従っていることになるし,微視的に見ても, やはり,熱力学第二法則に従っていることになるということです.
      私は,少なくとも,生物がかかわる現象において, エントロピーの増大速度が遅くなっていることについては, とても面白いと思っています.
      遺伝子は,数億年にわたって,その構造を保存しています.

      皆さんも,このエントロピーの概念について考えてみてください.

      大学では,4年間をかけて,論文を書くことについて,学びます.
      論文は,論理的記述法に基づいて, 背景・必要性の記述,理論構築,正当性の証明,有効性の主張を行います.
      正当性の証明のために,実験的検証または,数理論的検証を行います.
      記述するために「言葉」という記号を用います.
      ここでの「言葉」は,世代を超えて意味を伝えることが,その使命です.
      言葉の意味が正しく伝われば, 論文で主張したことは,数百年または数千年の時間を超えて, 意味を伝えることができます.
      意味が長期間保存されるのですね.
      我々人間は,遺伝子に代えて,新しく言葉を生み出したのですね.

      古い話題で申し訳ないのですが, ビートルズのAcross the Universeという曲では, 言葉があふれ,流れていく様子を描いています.
      Words are flowing out like endless rain into a paper cup They slither while they pass they slip away across the Universe.
      Pools of sorrow, waves of joy are drifting through my opened mind Possessing and caressing me.

      いろんな言葉があふれ,いろんな考え方が流れていきます.
      諸行無常の境地ですね.

      時代を席巻した流行も,風刺した言葉も,憧れたアイドルも, すべて変化していきます.
      その時代,正義とされたものも,どんどんと変わっていきます.
      20世紀マルクス主義は,プロレタリアートに光を与え, 労働者の生活を向上させましたが, 得られた安心が共産圏の国家的腐敗という形で崩れていきました.
      資本主義と核の狭間で,高度経済成長を享受し, 最も成功した社会主義国であった日本は, 社会保障費の増大に苦しみ,皆で見て見ぬふりをしています.
      いずれ,デフォールトとなるでしょう.
      世界の警察として正義を謳歌した大国は,ベトナム,湾岸,アフガンと 消費期限切れの武器の利用場所を探し続けています.
      なかなか難しいですね.

      国家的問題は,我々個人の生活に大きな影響を与えますが, 全く別物でありますので,皆さんは,身の回りの状況をよく見て, 上手く立ち回ってもらえることを期待しています.

      さて,世の中に不偏なものは,あるのでしょうか?

      心理学的な認識に関する理解の科学の中に, アフォーダンスという概念があり, その中で,不変項invariantという提言があります.
      J.J.Gibsonの展開した認識論です.
      我々は,多くの情報を視覚的に得ています.
      ギブソンの認識論では,視覚的な認識に基づいて理論が展開されています.
      環境からは,光の配列がアフォード(提供)され, 人は,ある種の特徴的な配列に対して,適当に名前を付けて, 現象の認識と識別を行っていると解釈しています.
      適当な名前が,人の種別を超えて,共通に認識されるとき, これを不変項といって,概念を表す共通記号と考えたのです.
      ちなみに,アフォーダンスについては,Donald Normanの解釈も面白いので, こちらについても勉強してみてください.
      簡単に書きますと,ノーマンのアフォーダンスは,環境が人に語りかける情報, 例えば,上手く設計されたドアは,どのような見え方をすべきか? というものです.
      皆さんが扉を見たときに, 引き戸なのか開き戸なのか,押すのか引くのか, などの動作情報がわからないと, 非常に扱いにくいドアだと感じるでしょう.
      すなわち,良い設計とは,利用者の直感に作用して, 取り扱いの動作情報を自然に与えるような環境情報を アフォードすべきだと論じたのです.

      ギブソンのアフォーダンスに戻りましょう. はて,不変項は,あるのでしょうか?

      赤信号は,止まれ.これは,万国共通のルールになっていますね. しかし,皆さんは,赤を定義できているでしょうか?
      どの程度の赤でしょうか?真っ赤?薄い赤?ほんのり赤い?
      色だけのことであれば,波長を調べれば,定義できますが, 赤いリンゴと青リンゴ,これは,色はどうでもよくて,味,ですよね.
      言葉での表現は,なかなか難しいことです.
      現象を記述する言葉は,ある意味,どうでもよくて, 意味が伝わるかどうかが重要なのです.

      いつの世も,ある種の合意に基づいて概念も言葉も定義されます.
      環境に適応し,真理を再定義して,戦略を練り直す能力, これを適応能力Adaptivityといいます.
      若さとは,時代を理解し,適応していく能力を豊富に備えていくこと, これが大事です.

      私自身の自戒を込めて, 皆さんと言葉の概念を共有していきたいと思っていますので, いろんな現象を表現する言葉について,議論していきましょう.

      少年,老い易く,学,成り難し

      時間の流れを追い越していきたいものです.

  • 「力」の話です

      皆さんは,力というと何を想像するでしょうか?
      物理学でよく出てくるものでは, 電磁力,重力,ファンデルワールス力,核子力,コリオリ力...

      機械工学科で力を扱う学問領域は, 材料力学,流体力学,熱力学,機械力学,(量子力学), いわゆる4力学ですね.
      このように,工学では,当たり前のように使っている「力」の概念は, 現在でもよくわかっていないものの一つなのです.
      これも,前回述べた形而上学のうちの一つ(目に見えないものや手に取って実感 できないもの)なのです.
      理系に学ぶ学生にとって,中学校の1年生の時から6年以上にわたり, 加速度と質量という概念を叩き込まれ,その上に,力が働いているんだ,矢印で 書き表せ...などと,繰り返し教え込まれてきた概念ですよね.
      それをいまさら,よくわからない概念だなどといわれてしまうと, 「えーっ??」となるかもしれませんが,
      実は,よく考えてみると,我々は,力を可視化したり, 実感したりできていないのです.
      今日の話は, このわけのわからない「力」をもっとわからなくしてみようという講座です.

      さて,アイザック・ニュートンが定義した力の概念は, F = M a でしたね.
      これは,質量Mの物体が加速度aで動くときには,力Fが加わっている... と教えられてきました.
      ここで問題となるのが, 質量は,定義されているか?,加速度は,定義されているか?ということです.
      加速度については,他の座標系からの相対値として定義できるのですが,
      残念ながら,質量は, この方程式に力の値を入れないと定義できないようになっているため,
      質量と力の概念は,相補的な関係,あいまいな関係とでも言いましょうか.
      要するによくわかっていないのです.
      ましてや,電磁力や重力,核子力の中での強い相互作用などは, いったい何が力の大元になっているのかなんて,全く手つかずの状況です.
      この基本概念からしてこの状態ですので, 科学の大元がぐらついているようなものです.
      それでも科学者の多くは,何とかして客観的な値を求めようとして, 努力を続けています.
      なので,科学の大元がぐらついているからといって, つまらないオカルト系の勧誘に踊らされることのないように, くれぐれも気を付けてください.
      ぜひ,科学者としてこの課題に取り組んでみてください.

      長い前置きになりましたが, 本日の主題は,そういう物理的な力ではなくて,もっと観念的な力, 人間社会の中だけに存在する力の話です.
      人は,どんな力によって動かされるでしょうね.
      ニュートン力学ならぬ,人間力学がありそうですよね.
      皆さんならどのような方程式で書き表しますか?
      私の人生で経験した様々な力関係は,経済力,法の力,政治力...です.
      もっといろいろとあるでしょうけど,簡単にこの3つから始めましょう.
      これらの力の半順序関係は, おそらく,力関係は,経済力<法の力<政治力でしょうね.
      さて,軍事力はどこに入るでしょう?
      本来は,経済力の下に位置するはずなのですが, 今の日本の現状を考えると,どうにもわからなくなりますね.
      現在の政治力が,想定外に低すぎるので, この半順序関係にも例外規定を設けなければなりません.
      このような例外が現実に存在してしまうと, 話がややこしくなってしまうのですが,
      一般には,武力的な紛争は,経済封鎖によって発生し, 経済的な疲弊によって沈下するので, 経済の下に位置すると考えられます.
      いわゆる金持ちケンカせずということでしょうか.
      皆さんに私が問いかけたいこととしては,現在または未来において, どの力を操ることができるようになりたいと思うかです.
      もちろん,これも解答はありません.それでも, 競争のためには必要なのだと思います.考えてみてください.

      これら3つの力の上?または,全く別の系列の力として, 愛や徳といった力があるのを知っていると思います.
      別の系列と書いたのは,愛や徳では,食べていけないからです.
      これらの力は,競争を意味するものではなく, 協力や保護,導きや安心を意味します.
      もちろん理想論ではありますが, ジョンレノンやマイケルジャクソンが啓蒙したように, これらの力が社会に満ちてくるようになるといいですね.

      ちなみに,蛇足ではありますが, 5月5日は,子どもの日,こいのぼりを飾るのですが,
      うちの家庭のこいのぼりは,緋鯉が上で,真鯉はその下に位置しています.
      家庭生活においては,必ずしも物理的な力や経済的な力が 発言力に及ばないことがあるということを実証しています.
      これも例外の一つです.

  • 哲学をしましょう

      大学生の醍醐味の一つに,「哲学」というものがあります.
      大学の4年間で,学ぶべきすべてのことが「哲学」を出発点としていることを知っておいてください.
      哲学は,自然科学(理系)の学問の原理原則であり,自分はいったい何者なのか,何のために 生きているのかを問い直すことにもつながります.

      〇簡単に言うと,哲学とは,「酒を飲んでだべること」です.
      酒を飲んだ状態は,多くの人が高揚した状態,その時に出てくる言葉は,人間性が出てくるということでしょうね.
      だからといって,飲みすぎると人間性を損なうことがありますので,十分注意してください.

      〇難しく言うと,哲学とは,「形而上学」について考えること.
      形而上学は英語では,metaphysics,対義語に形而下学.
      例えば,精神や物質,数,神,化け物,のような抽象的な概念で代表されるものが「存在」するか?とか,
      または,知性や人間性という「存在」は,物質的な「認識」の体系において定義できるか?
      というような,「存在」と「認識」について考えることです.

      〇関連項目 「正義」「愛」「善悪」「真実」などなど
      要するに,物質的には存在しないが,人が考える過程の中で,あたかも実在するかのごとく出てくる事象の 有無を問いかける,ある意味,不毛な取り組みです.
      が,そういってしまったのでは,身も蓋もありません.言葉の曖昧さについては,また日を改めて.

      哲学は,アリストテレス以来の学問の中心的な課題であり,人が人たる所以,または,知性の根源です.
      基本的に解はありません.問いかけ続けることが本質です.
      この問いかけ続けるという姿勢の中に,ヒトとして生きていく楽しみが存在しますよ.

      以下は,私の意見です.

      ヒトとそれ以外の動物の違いを生物学的,または,遺伝学的に,その答えを求めようとすると,
      明確な差は見えてこないことは,皆さんも知っていますよね.
      一般に,科学は,ヒトと,それ以外の動物との間に差があることを否定します.例えば,ヒトと チンパンジーのDNA塩基配列の違いは,2%以下,(しかしながら,遺伝情報の違いは,80%程度とかなり大きい).
      地動説は,人間は特別な存在という論理の中心であった天動説を基とするすべての宗教の 存在基盤を打ち砕きました.が,それがどれほどの意味があるでしょうか?

      論理的または実験的正当性を持って,誤りを論証したとしても,それとこれとは違うということが人間社会の中には,たくさん存在します.
      例えば,日本家屋の夜中のトイレが怖いとか...誕生日がうれしいとか...
      要するに,理系の人間ですら,神と化け物の世界を信じている場合があるということです.
      これが公平な判断を鈍らせることがありますから,要注意ですね.

      極端な例ですが,人が人を傷つけると犯罪になりますが,牛を食べても犯罪にはなりません,この差はどこから来るのでしょうね.
      ましてや,蚊やハエなどは,殺虫剤で駆除される対象になります.
      イルカやクジラは,特別な存在だったり,犬や馬もある国では特別ですね.
      肉食獣の頂点に位置するヒトという動物が,適当な理由を付けて,行動を正当化している状況にありますので, そこにもっともらしい哲学が必要になるのでしょうね.
      考えると難しい...ですね.

  • なぜ人間は5本指を必要とするか?

      なぜ,5本指なのか?
      さらに、親指だけ対向しているのはなぜか?

      以下の2つの意味があると思います.

      1. 工学的な意味
       〇面圧
        ・同一把持力において,接触点数が多いほど,面圧を下げることができる
        ・豆腐やクラゲのようなものでも把持できる
        ・一つの筋肉を小さくでき,駆動系の分散化,並列化が可能となる
        ・分散化により耐故障性が向上し,並列化により総出力を上げられる
       〇安定把持
        ・親指を含む最低3点以上必要
       〇操り
        ・親指を含む最低4点以上必要
       〇ダイナミックレンジ
        ・小さなものは,2本指,大きなものは4本以上支えると安定する

      2. 生物学的な意味 -進化的には,手指は魚のひれから出発している-
       〇水かき
        ・多くの水をとらえるために,面積と強度が必要であった
        ・水の抵抗を下げるために,正面投影面積を少なくし,細く薄い指が必要
        ・数は,多ければ多いほど良い
       〇捕獲
        ・能率を上げるため,指間の隙間は少なく,しかし,包含体積は大きく
        ・数は,多ければ多いほど良いが,軽くなければならない
       〇陸上生活
        ・ひれの状態では,状態を支えられないので,対抗した親指が必要
       〇制御
        ・指の数が多くなると,多くの神経支配が必要となり,その分,脳も大きくなる
        ・数は,少ないほど良い
       〇冗長性
        ・生物は,失う確率の高い物や,失っては困るものを余分に持つ傾向にある
         しかしながら,心臓が一つである理由はわからない

      これらのことから考えると,指の数Nは,4≦N,冗長性を考慮すると5≦Nとなるのではないでしょうか. ちなみに,日常生活上の理由もあると思います.
      もしも,類人猿の陸上での生活において,それほど指を使う必要がなければ,ウマなどの奇蹄目やブタなど ウシ目のように1本指や3本指,または,ネコなどの肉食目裂脚目の中には,後脚が4本指のものもいます.
      このように,進化の状況によって,指は減ったかもしれません.